財産分与って何?

離婚の際、慰謝料と同じく財産上問題になるのが財産分与です。

財産分与とは、婚姻生活中に夫婦の協力によって得られた財産を、離婚時に清算することをいいます。夫婦は共同生活をしている間にお互いの協力によって、一定の財産(不動産、預貯金、有価証券、自動車など)を形成します。多くの場合は、いずれかの名義になっています。しかし、たとえば、夫の給料で不動産を購入し、名義は夫となっていても、実質は妻の協力によって形成されたものと考えますから、これらは夫婦共有財産になります。財産分与権は、法律で認められた権利であり、離婚原因がいずれにあるかは無関係です。もっとも、離婚原因を作った側の財産分与が慰謝料として差し引かれて、少なくなるケースもあります。

 

また、財産分与には、経済的に弱い配偶者が、離婚後の生活に困らないようにするという扶養目的も含まれる場合もあります。例えば、離婚時に妻が高齢な専業主婦だった場合や、病気などを患って自活できない場合には、毎月数万円の生活費を支払い、生活維持を図るという内容です。

 

財産分与権は、法律上当然に認められた権利ですが、離婚後二年以内に行使しないと消滅しますので、財産分与せずに離婚した場合には、注意が必要です。

 

なお、不法行為(不貞行為、暴力など)に対する慰謝料は、財産分与とは別個の権利です。しかし、現実には、慰謝料と明確に区別せず、合算する場合もあり、財産分与は慰謝料の性格も持つ事もあります。だからといって、常に財産分与に慰謝料が含まれているわけではありませんので、この点は注意が必要で、専門家との相談をお勧めします。