犬の飼い主の責任

今まで人を噛(か)んだことがない飼い犬が、人に噛みつき、大けがをさせてしまったらどうしますか。このような場合の飼い主の責任について考えてみましょう。

人に噛みつく危険がないとは判断されず
飼い主として「相当の注意」尽くすべき

「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」という民法718条の規定があります。
すなわち、飼い主が飼い犬の管理について、その種類や性質に従い相当の注意を尽くしていない限り、責任を逃れることはできません。実際に、今まで一切人に噛みついたことがなかった犬であっても、犬である以上、人に噛みつく危険がないとは判断されず、飼い主が相当の注意を払う義務はなくなりません。
したがって、飼い主は、おとなしいと思って放し飼いにしていた室内犬であっても、来客者に対していきなり噛みつく危険を認識しておかなければなりません。また、鎖につながれた犬でも、訪問者に接触可能なつながれ方をしていたのであれば、やはり飼い主に責任が発生します。

犬に驚き、けがをした場合も責任は同じ
挑発など相手の過失が認められることも

また、鎖が古いなど、強度不足のために切れて噛みつかれた場合や、たとえ犬が噛みつかなくとも、来客が犬にいきなり吠(ほ)えられてびっくりして転倒し、けがをした場合なども、同様に飼い主はその責任を逃れられません。
もっとも、来客が飼い犬を挑発したり、不用意に手を出したりしたために噛まれた場合などは、来客にも過失が認められ、損害賠償額の減額、場合によっては免除になることもあります。

万が一に備え責任賠償の保険加入を

このように、犬の飼い主は、重大な責任を負わされる危険を認識し、万が一の場合に備えて、自動車などと同様に責任賠償保険に加入しておくことをお勧めします。

 

ネット社会の恐怖

レディア350号(平成25年4月25日発行)

Q:16歳になる子どもが掲示板でAの悪口を書いてしまった。すぐに消したらいいですよね?消さないとどうなるの?

 

A:Aが特定できる状態で,悪口を書くと名誉棄損となり,刑事罰や損害賠償責任を負うことがあります。Aの名前や住所,職業等が書かれていると個人を特定できますので,名誉棄損となる可能性が高まります。

名誉棄損は,ウェブ上に悪口を書き込んだ時点で成立するため,書き込みをすぐに消したとしても,関係ありません。また,すぐに消したとしても,一度ウェブ上に書き込まれた以上,書き込み内容がウェブ上に相当期間残ります(キャッシュ)。そのため,googleやYahooで検索するとヒットしてしまいます。

書き込みを消さない場合,ウェブ上に永続的に残りますし,第三者があなたの書き込みを2ch等に書き込むことにより,書き込みが拡散する可能性もあります。そうすると,もはや収拾がつかなくなり,書き込みが独り歩きしている状況になってしまいます。こうなってしまうと,拡散した書き込みの削除も難しいですし,Aと話し合いにより解決することも困難です。そのため,刑事罰を受ける可能性が高まります。

また,悪口と書きましたが,仮に真実を書き込んでも名誉棄損となることがあります。この点は,十分に注意してください。今,あなたが書き込もうとしている内容は大丈夫ですか?

浮気の代償

Q:家庭のあるKと浮気をしたため,Kの妻から150万円を請求されました。支払う必要はあるのでしょうか?また,Kに責任はないのでしょうか?

A:

浮気は,民法上の不法行為(709条)に当たります。そのため,あなたは,相手方の妻に対して損害賠償義務があります。

もっとも,浮気は,男女二人の行為ですので,その責任は二人にあります(共同不法行為)。そのため,あなた一人に150万円全額の支払い義務はありません。あなたとKの責任が等しいとすると,あなたとKがそれぞれ75万円の責任を負うことになります。この場合,あなたは,150万円全額を支払うとKに75万円の請求ができます(不真正連帯債務)。

つまり,Kの妻側に立つと,あなたから150万円の支払いを受けたが,Kもあなたに対して75万円を支払うことになります。そうすると,Kの妻の財産は,150万円増えるのではなく,75万円しか増加しません。

このように,離婚に至っていない夫婦が浮気を原因とする慰謝料請求をする場合,夫婦間(同一生計間)でのお金の動きがあるため,弁護士としても依頼を受けるか躊躇します。

なお,離婚に至った場合は,夫婦関係が切れているため,夫婦間でお金が動くということはありません。また,一般的に離婚後の慰謝料のほうが離婚前の慰謝料よりも高くなる傾向にあります。

詳細につきましては,弁護士にご相談ください。

子どもが火事を起こした場合の責任能力は?

子どもが火事を起こした場合の責任能力は?

子どもが火遊びをして火事を起こし、他人の家が燃えてしまったとき、親は損害を賠償しなければならないのか―。あまり考えたことはないかもしれませんが、火事による被害は非常に大きく、子どものしたことと安易に考えると重大な問題になりかねません。

原則、11歳未満の子に責任能力ないが
親は監督責任により賠償義務

子どもが他人に故意または過失によって危害を加えたとき、11歳未満の子どもには原則として法律上責任能力は認められず、11歳から14歳の子どもでも具体的な事情により、法律上責任能力が認められないこともあります。
子ども自身に法律上責任能力が認められない場合には、子どもに損害賠償義務は発生しません。もっとも、子どもに法律上責任能力が認められない場合には民法714条により、親に監督責任に基づく損害賠償義務が発生してしまいます。

重大な過失がないとの立証は困難
裁判所でも認める例ほとんどなし

ただし、過失により火事を起こした場合、民法と失火責任法という特別の法律により、親が子どもの監督について重大な過失がなかったことを主張・立証したときには賠償義務を免れると考えられています。
重大な過失がなかったことの証明は、一見すると簡単なことのように感じられますが、実際に裁判所が、親に重大な過失がなかったと判断した例はほとんどありません。なぜなら、子どもに常日頃から火遊びをしないように注意をしていたり、マッチやライターなどを子どもの手の届かないところへ厳重に管理したりしているような家庭は実際には少なく、また仮に注意や管理をしていても、そのことを証明することは非常に困難だからです。

親は道義的・法律的にも責任が発生

さらに、子どもに法律上損害賠償義務が認められる年齢であっても、親の監督責任が全く免除されるわけではなく、子どもとは別に損害賠償義務を負うこともあります。
このように子どものしたことについて、親には道義的な責任だけでなく、法律上の責任も発生してしまいます。火事に限らず、お子さんのことで何か問題が起こったときには安易に考えず、弁護士に相談していただければと思います。

 

山陽新聞レディア(H25,2,27)

その他の取り扱い事件につきましては、こちらをご覧ください。

交通事故に遭われた方へ

賀川法律事務所は、弁護士特約に対応しておりますので、相談・事件の依頼を含めて弁護士費用が無料(300万円まで)となります。

安心してご相談ください。ただし、ご相談者様が損保会社に加入し、かつ弁護士特約にご加入されていることが条件となります。

なお、ご相談者様の保険内容が不明な場合、こちらから損保会社に契約内容を問い合わせることもできます。

交通事故の当事者同士の話合いでご相談者様に不利な内容の合意をしてしまうおそれもあります。

下手に当事者同士での話合いをなされる前に、弁護士にご相談ください。

 

その他の取り扱い事件につきましては、こちらをご覧ください。

サービス残業代請求のポイント

残業代請求をするには、残業時間を証明する必要があります。

明確なのは、タイムカードや業務日報などですが、過去の記録の確保が困難な場合もあります。

このような記録がない場合においても、会社は従業員の勤務時間記録を3年間保管する義務があるので、この記録の開示を求める手段があります。

しかし、記録開示を拒否された場合は、裁判を起こすことで、裁判所から勤務時間などの記録の開示命令を出してもらうことができます。

ただ、この場合、勤務記録の改ざんの危険や、管理がずさんで記録が存在しないこともあります。

労働基準法は、「会社は原則として労働時間は1日8時間、1週40時間」を超えて労働させてはならない、また「休日は、週1回以上与えなければならない」と定めています。

この基準を超えた場合は、割増残業代を支払わなければなりません。

もっとも、「管理職だから残業代はつかない」となどと主張して、残業代を支払わない会社は多くあるのが現状です。 このような場合、いつ、何時間残業したのか明確になる証拠が重要です。たとえばタイムカードや業務日報などを残しておくことです。携帯電話の通話履歴、メールの送信履歴、パソコンのログイン履歴、手帳などに残業の記録するなどのも有効です。

残業時間を確定できなければ、労働基準監督署や裁判所の認定を得ることは難しいのが現状です。

最後に、残業代請求には2年の時効があり、過去2年分しか請求できないので、特に退職後の請求は一刻も早く起こす必要があります。

個人賠償責任保険って何?

日常生活の中で他人に対して損害賠償義務を負うことは交通事故に限りません。

 

飼い犬が散歩中に通行人に噛みついてケガをさせた。

 

子供の火遊びで家事になり他人の家が全焼した。

 

自転車で、人にぶつかってケガをさせた。

 

などなど、場合によっては数千万円の賠償義務を負う場合もあります。

このような場合、賀川法律事務所では、まずー個人賠償責任保険(個人賠償責任補償)を使用できないか検討します。

 

この保険は対象となる人の範囲が広いのが一般的で

本人、配偶者、同居の親族

生計を一にする別居の未婚の子(仕送りを受けている学生など)に適用されます。

 

もっとも、この保険は、他の自動車賠償保険やカードの付帯サービスなどが多く、加入の自覚がない方が非常に多く、保険を使わずに自分で賠償することも多々あるので、まずは保険が適用できないか調査する必要があるのです。

弁護士費用特約って何?

被害者、加害者を問わず加入損保(同居の家族が加入していれば良い場合が多い)に弁護士費用特約がついていると、弁護士に相談する相談料・示談交渉や訴訟の 弁護士費用が多くの場合最高300万円まで保険会社から支払われます。

なお、ほとんどの大手の保険会社では、弁護士費用特約を使用して弁護士費用を支払ったとしても、保険料が値上がりすることはありませんので、 弁護士費用特約を使うデメリットはないと言っていいでしょう。

この弁護士費用特約は実は加入している場合は多いのですが、加入していることに気づいていない場合も高いのです。保険証券をご確認されるか、加入損保にお問い合わせされるにが賢明です。損保会社からは問合わせないと教えてくれない場合も多いので注意を要します。

債権回収を弁護士に依頼するメリット

弁護士が代理人となって、債務者に内容証明郵便を送付するだけで、債務者が支払い(弁済)に応じる場合も多々あります。弁護士が代理人になったというだけで、もし請求に応じないと、法的手段が待っていると考えるからでしょう

とりわけ、債務者が倒産しそうな場合、できる限り早く債権回収しないと、全く回収できないことも十分にあり得ますので、一刻も早く弁護士に依頼するべきです。

内容証明送付、示談交渉、民事調停などは結局債務者の納得が要るので、奏功しない場合は、裁判を起こすしかありません。
しかし、裁判には高度の専門性が必要となります。当方に有利な証拠を収集し、整理した上で当方の主張を説得的かつ合理的に行うために書面を作成することなどは、専門家である弁護士に依頼した方が合理的です。
また、裁判で勝訴した後は、制執行手続の必要がありますが、手段の多様性、費用対効果の算定など非常に専門的であり、弁護士に依頼した方が、費用面を考えても、合理的です。

なお、内容証明郵便の作成等、債権回収を司法書士や行政書士に依頼する方法もあります。しなしながら、内容証明郵便を送付した後の相手方との交渉や訴訟については、(訴額140万円未満の司法書士代理権を除く)、弁護士法72条に抵触するため弁護士以外は法律上禁止されています。

請求で時効は止まるのか?

「きちんと支払うように督促しています。内容証明を出しています。」と言われ、消滅時効は止まっていると言われる依頼人さんは本当に多いです。

しかし、請求といっても、裁判上の請求でなければ時効は止まりません。正確にいうと裁判上の請求でなくとも、時効は半年延びるのですが、この延びた間に裁判をしなければ結局時効になってしまいます。

もちろん、相手が一部でも支払っていれば時効はとまりますが、証拠が要ります。領収書を相手に渡しても相手がもらってないと主張すれば、こちらで証明しなければなりません。

時効期間は一律に10年ではないことも、依頼人さんは、通常ご存知ありません。商人が関係すると5年、工事など請負代金は3年、商人がモノを売った代金は2年、慰謝料など不法行為の賠償金は3年などなど、かなり複雑ですし、条文がなく解釈で決まったものもあり、専門家に確認する必要があります。