扶養義務者間における扶養費用の請求

Q:私は長年、母の面倒を見てきました。一方、私の兄弟は、母のために一度も援助してくれたことはありません。もちろん母の面倒を見ること自体に不満があるわけではないのですが、母の扶養について兄弟に負担を求めることはできないのでしょうか。
A:他の扶養義務者に「求償請求」できる

 収入や財力などの事情考慮し金額決定

民法877条第1項は「子が親を扶養する義務」を定めています。それゆえ、子が親の面倒を見ることは法律上の義務でもあるといえます。もっとも、その義務は、扶養義務者間において平等に負担すべきと考えられています。

一人の扶養義務者が、負担分を超えて扶養した場合には、他の扶養義務者に対して、過去の負担分を超えて負担した扶養料について請求すること(求償請求)ができると考えられています。しかし「求償請求」とは、例えば二人兄弟の兄が母親のために100万円を扶養料として負担した場合に、その半額の50万円を弟に請求できる、といった単純なものではありません。実際の請求では、扶養義務者の資力(収入や財産)等の一切の事情が考慮されて請求額が決定されることになります。

この問題は、家族間の問題であるため、話し合いで解決することが望ましいのは確かですが、話し合いで解決できない場合には、家事審判という裁判所を介しての手続きで解決する必要があります。当事者同士の話し合いでの解決が困難な場合には、一度弁護士に相談し、家族全員にとってより良い解決を目指すことをお勧めいたします。

(山陽新聞レディア2013.8.7)